多様性の科学

Review ~ 読書&視聴 ~

トルストイの戦争と平和にあまりに時間をかけすぎた為、読書活動がかなり停滞していた。今回久々に手にしたのは『多様性の科学』という書籍。多様性の必要性を様々な視点から浮き彫りにしている。

CIAはなぜ、『9.11』を未然に防ぐことができなかったのか?

個々の人材は超優秀でありながら、画一的なエリート集団に死角が生じてしまう仕組みについて解説。

なぜサッカー英国代表のテコ入れに起業家や陸軍士官が集められたか?

船頭多くして船山に上る。同じ能力に長けた人材を集めても既知の情報ばかり集まったり、複雑な問題を解決する上で多面的な分析がおざなりになってしまう。個性が集まり、多様性が発揮されることによって進化する事ができる。

なぜ意見するより死を選ぶのか?

指摘しなければ大惨事を招くようなときでも目上の人に意見をするより、口をつぐんでしまう歪んだヒエラルキーについて、登山チームや航空機関士の例をを参照している。そしてどのようにしたら活きたチームにできるのかについて支配型ヒエラルキーと尊敬型ヒエラルキーについて解説している。

イノベーションはどこからやってくるのか?

世界的な発明家や起業家に共通するものとは何か?そして何が彼らにそうした発見をもたらすのか?一方で、目の前に転がり込んだチャンスをみすみす見逃してしまう人たちの心を支配しているものは何かついて解説している。

偏見や差別の対立する思想はどの様に強化されてゆくのか

自分の周りに、肯定的な情報だけ集めてその他の意見を排除する『フィルターバブル』と、反対意見を徹底的に攻撃し貶める『エコチェンバー現象』の違いについて解説。

なぜ真逆のダイエット法が存在するのか?

世に氾濫するダイエット法、もはや諸説ありすぎて何が正しいのかさっぱりわからない。基づているデータをよく見ると、どれもサンプル数は少ない上に「平均値」である。ところが個々人の人体と共生するマクロバイオーム(細菌叢)は個人差がある為、食品に対する反応も千差万別。なので本来は個人個人にあった食事療法が必要という解説を中心に、平均で物事を語っては却って事を仕損じる可能性があるというお話。

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会社文化の中で多様性を発揮するのは非常に難しい。ともすると物事を、以前はこうであったから今回もこうという『セオリー化』、あまり深く考えてもしょうがないという『単純化』、〇〇さんが仰っているのだからという『権威化』という、取りも直さず本稿の真逆を行くような会話が散見される。

著者は多様な枠組みの集団に必要なのは「オウム返しに同意し合うクローンの集まり」ではなく「反逆者の集団」であるという。会社で反逆者になれるだろうか?

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