前回の書評からずいぶん時間がたってしまったが、ブログの引越しやっら、お絵かきの練習やら、二日酔いやら、そもそも飲酒状態で文字が判別できる状態では無かったりして読書のペースが落ちてしまっている。
それはさておき、今回の書評は戦争と平和の第三部。書籍では第四巻と第五巻にまたがっているこの第三部でトルストイは、フランス帝国軍がロシアに侵攻する1812年のロシア戦役を舞台に、混沌とした戦場や、フランス軍に蹂躙されるロシアで故郷を追われる人々の姿を通し、戦争がもたらす厄災について如何に暴力が無為であるかと語りかけている。戦場はナポレオンその人やロシアの皇帝、指揮官、兵士あるいはその場に居合わせた門外漢等、あらゆる立場から立体的に描写され、あたかもそれが人間の歴史において必然の出来事であったという空気すら嗅がせてくれる。主要人物たちは、あるものは心の苦悩と闘いながら、あるものは戦争とはなんであるかを知る為に、そして若者は功績あるいは名誉を求めはやる気持ちを抑えるため皆、それらを解決してくれるのは戦場しかないという心持で前線を目指してゆく。
兵力の温存し勝機を窺いながら撤退に撤退を重ねるロシア軍と、負けることなど夢にも思わずに無邪気に敵地の深淵へと侵攻を進めるフランス軍。

彼らが、戦場で見るものは、祭りの最中の花火のごとく華々しく音を立てて飛ぶ砲弾と、それによって今まで生命を帯びていた何某かが、突如として肉塊と化す現実であった。そして舞台はモスクワへと移り、戦争が人々の営みを食い散らかす様がありありと描かれる。
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残すは第四部のみ。書籍にしてあと一冊半となった。果たして年内に読み終えることができるのか?
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