先日読んだ、『多様性の科学』が面白かったので2015年(翻訳本は2016年)に出版された著者の『失敗の科学』(原題 Black Box Thingking)をKindleで探してみたら、なんとUnlimitedで読み放題の中に入っていた。購入すると2000円する書籍が無料で読めるAmazon のUnlimitedは月額980円。元が取れているのかやや疑問はあるが、読みたい本がすぐに手元のデバイスにダウンロードできるのはありがたい。
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失敗の科学は「失敗から学ぶことの重要性」について書かれているが、事例を挙げながら失敗の原因や失敗から学ぶことを阻害する要因などについて解説している。
なぜ失敗は起きるのか?
多忙さや疲労、間違いやすいラベル、十分な時間が無い中で決断を迫られるような場面において失敗は起きやすい。そうした失敗から学び、失敗する事を想定した準備をしなければ大きな失敗をするRiskは大きくなる。本書では医療や航空業界という人の生命にかかわる重要な職場において起きる失敗について、その原因となる因子を上げている。
- 時間感覚の喪失
- トラブルで一刻を争う事態に陥った際、一つのことに集中するあまり時間の感覚がなくなり、手遅れになってしまう。
- ヒエラルキーによる回避機会の喪失
- 上司は絶対であり、間違いを犯さないという思い込みや、目上の人に対して萎縮しまう事によってまっとうな指摘ができず、警告があれば回避できた失敗が起きてしまう。
なぜ失敗から学ばないのか?
- 失敗に気づかない~失敗だと思わない
- 原因の歪曲や曲解によって事実と異なる認識をしている
- 権威への妄信によって誤った信念に基づいている
- 自身の過去の判断を正当化する為にマイナスの要素すら肯定的にとらえてしまう。
- 過ちを認めない
- 失敗は悪であるという考え方から失敗を隠蔽しようとする力
- 失敗を隠すための嘘を信じ込んでしまう力
- 犯人捜しによるスケープゴート
- 失敗が起きると犯人捜しの衝動に駆られる。
- 犯人の特定に躍起となり事実の深堀をしなくなってしまう。
なぜ失敗から学ぶことが重要か?
- 進化は失敗の繰り返しから起きる
- 失敗による修正が新たな気づきを生む
- 考えるよりもトライ・&・エラーを繰り返すことが効率的
- 失敗を繰り返さない
- 作業の改善、効率化、安全性の向上は失敗に学ぶ事から生まれる。
- 失敗の供給により、失敗の回避が水平展開される。
- フィードバックに耳を傾ける
- 社内のブレーンストーミングよりも顧客の意見に耳を傾けることが解決につながる。
失敗から学ぶというのは当たり前のことのように思うが、人の心理がそれを阻んでいる。
残念ながら『性懲りもなく』酒での失敗を繰り返す輩についての件は本書で触れられていない。恐らくそういった病に効く薬もまだ開発されておらず、そもそも本人の記憶があいまいであり、素面の時にいくら忠告したところで徒労に終わるといったおよそ科学とは程遠い次元なのであろう。『飲みすぎない』事が唯一の処方である。
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