日本沈没 2020 

Review ~ 読書&視聴 ~

2020年7月からNETFLIXのORIGINAL ANIMATIONとして配信されている同作品だが、評判はまさに賛否両論であり、なにがしかの執着が無いと恐らく全十話を最後まで見るのは難しいと思う。

因みに、私自身はこの作品の中に『湯浅監督らしさ』を見出そうとして鑑賞したが、最終話でようやくその『らしさ』を感じることができた。

『日本沈没』をある家族の視点から、災害を逃れるために移動を続けるロードムービー的なストーリが柱となっている。それを織りなすのは玉石混淆なエピソードで、「このエピソードは必要だったのか?」とか「掘り下げ方が浅すぎて撫でている程度」とかいうエピソードもあれば、心を打たれるエピソードもある。しかし、どのエピソードも総じてご都合主義的な展開になっており、ディテールが端折られている感が否めない。エピソードの数を削って一つ一つを掘り下げたほうが良かったのではないか?と感じてしまう。

小説『日本沈没』という不朽の名作を、政府や科学者を主人公にせずあくまで家族に焦点を当てている点、その家族を取り巻く環境を通じての日本社会の問題点への警告、そしてまさに今ここにある若者の文化を織り交ぜてゆくというのは実に野心的であり、この作品の味となっている。

また、今我々の生きているこの瞬間が、取り戻すことのできないアーカイブになってしまうという喪失感は、このコロナ禍での日常の変化を彷彿とさせる。

Netflixオリジナルアニメシリーズ『日本沈没2020』公式サイト
湯浅政明監督が挑む、新たなる「日本沈没」7月9日 Netflixにて全世界独占配信

どうやら劇場用に再編集されたバージョンがあるようなので時間があればそちらも観てみることにしよう。

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