『オールアウト』とは、バスに乗り込んできた人物の挙動を見て全員が笑ってしまい、お尻をバットで殴られるという事ではない。
筋力トレーニングで鍛えたい筋肉部位に負担をかけ続け、極限まで力を出しきった状態のことを言う。3/7トレーニングをしていると、最終セットでこのオールアウト状態になる事が多い。例えばダンベルプレスなどでは、14kgのダンベルですら上がらなくなる。オールアウトの目安は10秒程度の休息の後、1回しか上げられなくなることで判断できる。30kgのダンベルを挙げている人の横で、14kgのダンベルを腕をプルプル、足をジタバタさせながらフルには上げきれないようなトレーニングをしているのは、見た目残念な感じである。
筋肉の収縮運動(腕を曲げる短縮性収縮と腕を伸ばす伸張性収縮)にはエネルギ―が必要であり、筋繊維の中のATP(アデノシン三リン酸)と呼ばれる物質がが分解し、リンを放出しADP(アデノ新ニリン酸)になるときにエネルギーを発生させる。
ATPの量は限られておりまた、再合成によってのみ得られるので、強い運動によって一時的に枯渇する。再合成には三つのパターンあり、大きくは無酸素系と有酸素系の二種に分かれる。
無酸素系はATP-CP系とよばれ、金組織の中に蓄えられているクレアチンという物質が放出されたリンと結合し、クレアチンリン酸となりこれがADPにリン酸を供給しATPに再合成される。この他に、解糖系と呼ばれる。この経路が最短の再合成ルートとなるがそれでも8秒程度しか持たないらしいので、オールアウトは枯渇状態から最短の再合成8秒が経過した後に起きる事になる。

それはさておき、身体の中で何が起きているかという事よりも、オールアウトは筋トレとして有効なのかどうか?という点が重要であるが、どうやらこれには諸説ある。しかし、諸説の中でも共通しているのはオールアウトのメリットとして『達成感』があるという事。筋トレは『自らを追い込んだ』という達成感があれば良いのだというストイック派にはそれだけで十分なのかも知れない。
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